Mitochondrial-Based Immune Surveillance

以下の2016年Shockの総説を参考にして頂戴:
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Jan 1, 2015、Cell Host & Microbe, Previews, 「Dynamic Intervention: Pathogen Disarmament of Mitochondrial-Based Immune Surveillance」を読む。Suzuki et al. Vibrio cholerae T3SS Effector VopE….PMID:?25450857のハイライト解説。

キーワードを整理する。
1) V. choleraeのIII型分泌毒素であるVopE
2) ミトコンドリアRho GTPaseのMiro1とMiro2
3) ミトコンドリアのダイナミクス制御が集中しているMAVSシグナリング.

ミトコンドリアは、細胞の中をダイナミックに動いており、様々な刺激によりmicrotubulesの作用で時に細胞膜や核膜近辺で凝集するようだ。 ここでのキーワードは、Perinuclear mitochondrial localizationと、MAVS aggregation。

MAVSという用語をググってみる。MAVSとは、Mitochondrial?antiviral signaling:MAVS は別名,IPS-1,VISA,または Cardif ともよ ばれ,ミトコンドリアの外膜上に局在する分子量 約 6 万の膜タンパク質である.RIG-I を介したシグナル伝達経路のアダプター分子として働き、最終 的には I 型インターフェロンや炎症性サイトカイ ン産生を誘引する。細胞内に移行したウイルスゲノム 由来の二本鎖 RNA(dsRNA)や複製過程に生じる dsRNA を細胞内 RNA センサー分子である retinoic acid-inducible gene I(RIG-I)、または melanoma differentiation-associated gene 5(MDA-5)が検知し、その後、IRF-3/7と NF-κB 転 写因子が活性化され、最終的には TLR 経路と同様にI型 IFN 及び炎症性サイトカインが産生される。この経路に おいて、RIG-I / MDA-5は共通したアダプター分子として働くmitochondrial antiviral signaling(MAVS4)(別名; IPS-15、VISA6、Cardif7)と相互作用し、下流にシグナルが伝えられる(http://www.jbsoc.or.jp/old/event/magazine/pdf/82-02-06.pdf)。。。そうだ。

あと、mitofusion-1(MFN-1)とMFN-2というミトコンドリアが凝集して伸びた線状フォームに変形することに関わっているタンパクについても確認しておく。

Mfn (Mitofusin):ミトコンドリア外膜上に局在する分子量約 8 万の GTPase であり、ミトコンドリア同士の隣接や融合 に直接関与する内在性膜タンパク質である。酵母 からヒトまで広く保存されており、哺乳動物では 2 つのアイソフォーム(Mfn1 および Mfn2)が見 つかっている(https://www.jstage.jst.go.jp/article/biophys/51/4/51_4_177_1/_pdf)。

ミトコンドリア外膜上のRho GTPaseであるMiroとかそのアダプター結合分子であるMiltonというようなタンパクも、ミトコンドリアの外膜上に存在して、Kinesin-1やDyneinとの相互作用でMicrotubuleのレールの上をミトコンドリアが移動することに関わっているようだ。?日本語では「ミトコンドリア動態制御因子」だそう。Miroは、カルシウムの上昇に反応して、Kinesin-1の解離につながるようだ。。。

kinesinについて確認しておく。とくにKIF-5がミトコンドリア上ではポイントのようだ。
キネシンは、モータータンパク質の一つで、主にATPを加水分解しながら微小管に沿って運動する性質を持ち、細胞分裂や細胞内物質輸送に重要な働きをしている。キネシンは遺伝子ファミリーを形成しており、キネシンスーパーファミリータンパク質(kinesin superfamily proteins, KIFs)と呼ばれる。?KIF5はKinesin-1ファミリーに属し、kinesin light chains(KLCs)と複合体を形成する。KIF5にはKIF5A、KIF5B、KIF5Cの3つのアイソフォームがあるが、発現場所、発現量はそれぞれ異なる。KIF5Bは全身に発現しているのに対し、KIF5A、KIF5Cは神経特異的に発現している。近年、KIF5によるミトコンドリアの輸送にCa2+濃度依存的な制御が働いていることが示された。http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19135897

TRAK/miltonは、motor-adaptor proteinとしてミトコンドリアのトラフィッキングに関わるらしい。

ホストが病原体を認識して免疫反応を作動させるメカニズムとして、これまでPAMPsとDAMPsの認識が解明されてきた。今回の論文を含めて、これまでの一連の研究は、第三のメカニズムとして、ミトコンドリアの機能が発端となる”guard hypothesis”とも呼ばれるcellular-surveillance-activated detoxification and defenses (cSADD)の存在が示されている。コレラ菌のVopEは、この機能を阻害して、ホスト細胞からの認識を低下させているようだ。

VopEがないと、ミトコンドリアは上昇したカルシウム濃度に反応して核膜周辺に凝集する。凝集するミトコンドリアはMAVSを介してIKKを活性化し、NFkBの核内転移を促し、結果として炎症性サイトカインの転写亢進がもたらされる。一方、VopEは、ミトコンドリア外膜上でMiroと作用して、本来ならばカルシウムの上昇に反応して起こるミトコンドリアの凝集を阻止し、免疫反応を回避する。