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anesthesiology, kyoto prefectural university of medicine 京都府立医科大学麻酔科学教室

5月19日:関西マンスリー報告

場所:大学コンソーシアム大阪

発表演題は、全部で8題であった。

京都府立医大の関連からは、

佐和、影山、大学院生の清水、後期専攻医は山田、山佐、西塚、田中先生(発表)。

近江八幡から須貝ご夫妻、布施先生、松本先生、研修医の植木先生(発表)。
😐 まず、関西マンスリーご意見番のお一人でもある兵庫県H病院のW先生自ら、気腹術中に発生した悪性高熱症について御発表されれた。呼気CO2濃度の上昇をとえられ、迅速なダントロレンの投与により事なきを得たというご報告であった。
ダントロレンの使用法を含めて悪性化高熱急性期の対応について整理しておこう:


🙄 悪性高熱:急性期の治療
(1)直ちに揮発性吸入麻酔薬の投与を中止し、高流量の純酸素で過換気にする。(麻酔 器の交換や回路の交換は人手が多くあるときのみに行い、治療を優先させる) (2)ダントロレン投与:初回量1~2mg/kgを10~15分かけて静注する。以後心拍数低下、 筋緊張が低下し、体温が低下するまで5分毎に1mg/kg/minを持続投与する。 総投与量は日本では7mg/kgとされているが、それにこだわることなく症状改善まで投 与してよい。 もし症状が再発し、悪化傾向が見られたら症状改善まで持続投与を開始する。 ダントロレン:1バイアル(ダントロレン20mg)を溶解するためには蒸留水60mlが必要 (3)強力な冷却を行う。中枢温が38°C以下になったら冷却を中止する。(そのまま冷や し続けるとさらに低体温になり、シバリングによる、体温上昇を引き起こす。) (4)不整脈出現時はリドカインを静注する。カルシウム拮抗薬の投与はダントロレンと の併用により心停止の報告があり慎重投与が必要。 (5)アシドーシスに対し血液ガス所見によりNaHCO3(重炭酸ナトリウム)を投与する。 (6)十分な輸液と利尿薬(フロセミド)投与し、十分な尿量(2ml/kg/hr以上)を得る。 (7)高カリウム血症が疑われる所見(心電図上テントT波又は血清電解質異常)が認めら れたら、インスリン50単位、50%ブドウ糖液50mlで補正し、改善した時点で中止する。 (8)以後厳重な患者監視を続ける。ショック状態に移行している場合、これに通常のショックに対する治療を加えて行う。


😐 K大学からは、肺移植手術術後に内頸静脈閉鎖を来した症例についての発表。手術中に側副血行路が遮断されたことが鬱滞につながったのではないかとか会場から意見があった。
😕 O医療センターからは「むずむず脚症候群」という体動が収まらない患者のMonitored Anasthesia Care (MAC)での発表があった。MACについて意見がかわされた。MACで管理するにも当然全身麻酔の同意を得ておく必要があるということであった。
😯 兵庫県N病院より、高齢者で食道離断術後の胃切除で大量出血した症例の報告があった。既往歴をうっかり見過ごす可能性があり、門脈圧亢進患者の内臓手術は胃切であっても注意が要すると改めて考えさせられた。
🙁 滋賀県O病院より、研修医の先生が、準緊急手術となった骨盤骨折症例のDamaged Control Resuscitation(DCR)の概念に沿った出血に対する管理を提示された。簡単にいえば、手術中出血の危険性がある間は血圧を低く保って出血量を減らして、必要な場合は凝固能低下につながる輸液ではなく、輸血で対処するという方法。輸血製剤などのりソースが利用できる状況では、目標血圧の点などから会場でも色々とご意見があった。
:mrgreen: 京都府立からは、僻地医療についてのアンケート調査の結果を影山先生の指導のもと田中さんが発表してくれた。会場からは、僻地を経験していない医師と、経験した医師を分けて分析すべきであるとのご指摘を受けた。外科医師も混じっているので、これらのご意見を参考に再度、詳細な調査を進めれば興味あるデータとはなると感じた。
😡  大阪K病院からは、喉頭展開後にマスク換気困難に陥った症例の報告があった。我々も年に数回、こういう経験があるが、多くは筋弛緩薬不良の状態で喉頭展開操作に入り、喉頭けいれんをおこしてしまうのではないかと感じる。筋弛緩モニターを導入しても中々、皆、使おうとしないが、安全装置がある以上、導入時の筋弛緩の効きぐあいについてバリエーションについてどの程度があるのかということを客観的に捉えて、安全な麻酔に勤めるべきではないかと思う。
😎 大阪K大学より、妊娠後期に併発した急性腹症(虫垂炎)に対しての麻酔管理のご報告。結果的には、CSEで開始され、途中で全麻に変更されてたということであった。私は、問題は産婦人科側の判断で、妊娠34週であるなら、どう考えてもまず腹腔内洗浄後に帝王切開で退治娩出を優先すべきではないのかと思った。麻酔は、TIVAだ、吸入だ、CSEだと会場からは意見が飛び交ったが、それぞれの施設で、経験度に合わせて得意な方法で行えば問題ないと感じた。私は、もちろんCSEで押し通すこと、もしくはCSE->GAでもよいけれども、第一日赤でもこういうことはよくあったが、展開が予測しにくいややこしい症例に対応する場合は、研修医師への指導の観点からは、小児科医が分娩に必ず付き添ってくれる病院であれば、始めっから全部全身麻酔で対応すればよいかと感じた。

以上、佐和

後期研修ー研修学術評価


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