ホーム » MRSA感染症の疫学の変還と新たな治療法の開発

最近の投稿

最近のコメント

アーカイブ

カテゴリー

MRSA感染症の疫学の変還と新たな治療法の開発

2019年08月31日1版

 MRSA感染症の疫学の変還と新たな治療法の開発 
 京都府立医科大学附属病院 麻酔科学教室では、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の菌血症、肺炎の患者さんを対象に、治療状況や予後に関する臨床研究、抗菌薬に頼らない新たな治療法に関する基礎研究を実施しています。今回、多施設と協力しMRSAの遺伝子解析や新たな治療法を検索することで、今後のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症の新規治療法が可能と考えています。 実施にあたり京都府立医科大学医学倫理審査委員会の審査を受け、研究機関の長より適切な研究であると承認されています。

研究の目的
 感染症のコントロールは、患者さんの生命予後だけでなく、医療経済の観点からも重要です。感染症に対する抗生物質の汎用に伴い、より高度な多剤耐性株の出現が報告されており、抗生物質に替わる新たな予防治療法の開発が求められています。2017年に世界保健機構は「新規抗菌薬が緊急に必要な薬剤耐性菌」の12種類の細菌を初公表しました。その中に今回のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌もあげられました。薬剤耐性菌感染症は、病院などで感染が広がると死亡する患者さんが出る可能性があり、その死亡者数は 2050 年までに年間1000万人を超え、最も多い死亡要因になると推測されています。 またMRSAの中にも、致死性の感染を起こす菌株(強毒素株)から、保菌するだけで発症に至らない菌株(弱毒素株)など様々な病原性があります。
 今回の調査は、入院患者さんに対するメチシリン耐性黄色ブドウ球菌菌血症、肺炎の治療実態、背景などを診療録(カルテ)の情報を用いて評価し、解析させていただき、さらに我々の技術と知識によって新規治療法の開発を目的としています。

研究の方法
・対象となる方について
2010 年 1月 1 日から 2020 年 12 月 31 日までの間に、京都府立医科大学附属病院に入院しメチシリン耐性黄色ブドウ球菌による菌血症、肺炎患者の診断を受けられた方

 ・研究期間: 医学倫理審査委員会承認後から2021年03月31日

・方法
当院に入院されメチシリン耐性黄色ブドウ球菌による菌血症、肺炎患者の治療を受けられた患者さんの診療録(カルテ)からの情報を調べます。

・研究に用いる試料・情報について
情報:年齢、性別、病名、併存疾患、基礎疾患、検出されたメチシリン耐性黄色ブドウ球菌の種類、治療に用いた抗菌薬の種類、 治療の開始時期、治療期間 等
試料:血液培養で検出されたメチシリン耐性黄色ブドウ球菌

・外部への試料・情報の提供
長崎大学へMRSA臨床株を郵送で送付し更に詳しい解析、酪農学園大学へメチシリン耐性黄色ブドウ球菌臨床株を郵送で送付しファージ(細菌に感染するウイルス)を検索してもらう予定です。提供の際、氏名、生年月日などの患者さんを直ちに特定できる情報は削除し、提供させていただきます。

・個人情報の取り扱いについて
患者さんの血液や病理組織、測定結果、カルテ情報をこの研究に使用する際は、氏名、生年月日などの患者さんを直ちに特定できる情報は削除し研究用の番号を付けて取り扱います。患者さんと研究用の番号を結びつける対応表のファイルにはパスワードを設定し、インターネットに接続できないパソコンに保存します。このパソコンが設置されている部屋は、入室が管理されており、第三者が立ち入ることができません。
また、この研究の成果を発表したり、それを元に特許等の申請をしたりする場合にも、患者さんが特定できる情報を使用することはありません。
なお、この研究で得られた情報は研究責任者(京都府立医科大学 麻酔科学教室 清水優)の責任の下、厳重な管理を行い、患者さんの情報などが漏洩しないようプライバシーの保護には細心の注意を払います。

・試料・情報の保存および二次利用について
カルテから抽出した情報は原則としてこの研究のために使用し結果を発表したあとは、京都府立医科大学附属病院 麻酔科学教室の清水優の下、10年間保存させていただいた後、研究用の番号等を削除し、廃棄します。試料は結果を発表したあと5年間保存させていただき、適切に破棄します。また今回得た情報・試料を将来、研究に用いる場合は、改めて京都府立医科大学医学倫理審査委員会において承認を受けた後に使用します。

研究組織
研究責任者・代表(統括)者・担当者
    京都府立医科大学 麻酔科学教室 清水優
 
お問い合わせ先
患者さんのご希望があれば参加してくださった方々の個人情報の保護や、研究の独創性の確保に支障が生じない範囲内で、研究計画及び実施方法についての資料を入手又は閲覧することができますので、希望される場合はお申し出下さい。
また、情報が当該研究に用いられることについて患者さんもしくは患者さんの代理人の方にご了承いただけない場合には研究対象としませんので、2020 年 12 月 31 日までに下記の連絡先までお申出ください。その場合でも患者さんに不利益が生じることはありません。

お問合せ先と受付時間
京都府立医科大学附属病院 麻酔科学教室
助教 清水優
電話:075-251-5111 (内線:麻酔科外来、受付時間:9 時から 17 時まで)