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anesthesiology, kyoto prefectural university of medicine 京都府立医科大学麻酔科学教室

院生抄読会 8月11日(月) 担当:加藤秀哉先生

AspergillomarasmineA(AMA)は、メタロβラクタマーゼによる抗菌薬耐性を克服する

Abstract
カルバペネム耐性グラム陰性桿菌の出現と急速な広がりは、世界的な脅威となっている。NDM-1(New Delhi Metallo -β- Lactamase-1 )などのメタロ-β-ラクタマーゼ(MBLs)の獲得は、カルバペネム耐性のグラム陰性桿菌の出現となりうる。これまでにMBLsの阻害剤は報告されていないが、この論文で真菌からの抽出物であるAspergillomarasmineA(アスペギロマラスミンA:AMA)が、NDM-1の阻害剤となりうることを報告する。AMAは、VIM-1(Verona Imipenemase-1)あるいはNDM-1を発現している腸内細菌、Acinetobacter属、Pseudomonas属に対して、メロペネムの活性(感受性)を回復させた。また、NDM-1を発現しているKlebsiella pneumoniaeを感染させたマウスを用いた実験の結果、AMAはメロペネムの活性を劇的に改善させ生存率の回復を認めた。これらの実験の結果から、AMAとカルバペネムの併用療法は、MBL陽性のカルバペネム耐性グラム陰性桿菌に対する治療効果がある可能性が示唆された。

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加藤 秀哉(Hideya Kato)